【放置厳禁】脳動脈瘤の前兆5選

しょう吉

くも膜下出血につながる、脳動脈瘤についてお伝えします。

目次

脳動脈瘤ができるとどうなるの?

脳内の動脈の一部が、こぶのように膨らんだ病気を脳動脈瘤と呼びます。脳動脈瘤が破裂してしまうと、くも膜下出血という死亡率の高い深刻な病気を引き起こします。命が助かったとしても重い後遺症が残ることも多く、社会復帰できる確率は3分の1といわれます。昔は、破裂して初めて脳動脈瘤があったことがわかったのですが、近年はMRIやCTなどで破裂しないうちに発見できるようになりました。日本神経外科学会が行った全例調査結果によると、未破裂動脈瘤が破れる確率は1年間で0.5%~3%といわれています。こぶのできた場所と大きさによって確率は異なります。未破裂動脈瘤は、手術やカテーテル治療で破裂しないように治療することも可能になっています

脳動脈瘤の原因

脳の動脈にこぶができる理由は、まだ明確にはわかっていません。高血圧、血流分布の異常、あるいは喫煙や遺伝的な要因などによって、血管壁にストレスがかかり、慢性的な炎症などを起こして血管壁が変形するのではないかと推測されています。一般的には血管が枝分かれした部分に多く発生し、2ヵ所以上にできることも珍しくありません。また、脳動脈瘤が破れる理由についてもよくわかっていませんが、こぶに血液が流れ込んで風船のように膨らみ、血管壁が薄くなって破裂すると考えられています

脳動脈瘤には他にもいくつかのパターンがあり、発生したときに血管壁が耐えられずにすぐ破れてしまうもの、いったん安定した後に血管壁が変化して破れるもの、安定化して破れにくいものなどがあります。これまでの調査で、細長いこぶ、いびつな形状のこぶは血管壁が変化しやすく、破れやすいことがわかっています。

脳動脈瘤の症状

脳動脈瘤が破裂すると、くも膜下出血となり、突然の激しい頭痛や意識障害に陥ります。頭痛は、今までに経験したことのないほどの激しい痛みです。くも膜下出血は死亡率が高く、後遺症が残ることも多い病気ですから、一刻も早く救急車などで脳卒中の救急診療を受け入れている病院に行ってください。

一方、未破裂の動脈瘤は自覚症状のない場合が多いのですが、頭痛やめまいなどの症状が出て、MRIやCTの検査で見つかることがあります。ものが二重に見える症状が出ることもあります。これらの症状は、未破裂動脈瘤が大きくなって、周囲の神経を圧迫して起きると考えられています。

脳動脈瘤の検査・診断

脳動脈瘤を発見することができるのは、CTやMRIによる検査です。脳動脈瘤の破裂、すなわち、くも膜下出血は、出血した部分がCT画像で白い塊として映ります。

一方、未破裂の動脈瘤が見つかることが多い検査はMRI装置を使用した検査です。その中でもMRAという検査は脳血管の形状を詳細に調べることができるため、未破裂動脈瘤を見つけることはもちろん、大きさや形まで確認できます。無症状であっても、脳ドックで発見できるケースもあります。MRA検査は造影剤を用いることなく行うため、患者は比較的楽に検査が受けられます。

未破裂動脈瘤が見つかっても必ず治療が必要ということではありません。一般的に小さな動脈瘤は経過観察となりますが、5~7mm以上の動脈瘤では年齢を考慮して、できた部位、形状などで破裂するリスクを判断して手術が必要かどうかを決めていきます。

脳動脈瘤の治療

脳動脈瘤の治療法には大きく分けて、開頭して行うクリッピング手術と、カテーテルによる血管内治療のコイル塞栓術があります。クリッピング術は動脈瘤の入口部分を金属製のクリップで挟んで中に血流が入り込まなくする治療法です。同じ箇所での動脈瘤の再発はほとんどありませんが、長期間経過を追跡することが推奨されます。頭の皮膚を切開し、頭蓋骨を外して手術するので体への負担は血管内治療と比べ、大きい治療法です。

コイル塞栓術は、脚の付け根もしくは腕の血管からカテーテルという細いチューブを入れて動脈瘤まで導き、中に細いコイルを入れて動脈瘤の中をコイルで埋め尽くします。そうすることでコイルと血液が固まり、こぶの中には血液が流れ込まなくなり、破裂を予防できるのです。頭を切開する手術に比べて体への負担が少なく、脳の奥深くにあるこぶにも治療が行いやすいメリットがありますが、コイルの入れ方が不十分だと再治療が必要というデメリットもあります。

これらの方法で治療できないような大型の動脈瘤には、「前後の血管をクリップで挟んで血流を止めてしまい、代わりにバイパス血管を設ける手術」「こぶのある血管に極めて細かい網目状の金属筒を入れて、こぶをふさいでしまうカテーテル治療」などの方法があります。

脳動脈瘤の予防・治療後の注意

見つかった動脈瘤が大きくなったり、破裂する危険因子として考えられているのは、高血圧や大量の飲酒、喫煙です。禁煙して飲酒量を抑えるとともに、血圧を測定し、高血圧の人は医師の治療と指導を受け、生活習慣を改善してください。動脈瘤ができる原因ははっきりしていませんが、脳梗塞など他の脳血管疾患の発症を防ぐためにも、血管そのものが硬くもろい状態にならないように、高血圧、高脂血症(脂質異常症)、糖尿病など血管に強いストレスがかかる生活習慣病を治療していくことが大切です。

監修医師のアドバイス

脳動脈瘤は、破裂してくも膜下出血となってからでは手遅れになることの多いご病気です。従ってこのご病気も、とにかく予防が最優先となります。まずは MRI で自分の頭に脳動脈瘤があるのかどうかを把握することからスタートしましょう。最近では「脳ドック」で MRI をとってくれる病院も増えております。特に40代以降になり人間ドックをすすめられている方は、合わせて脳ドックも受診するように心掛けてください。万が一脳動脈瘤が見つかった場合は脳外科の先生と相談した上でクリッピングやコイル塞栓術を検討してもらいましょう。

【 参考文献 】
・ドクターズファイル;脳動脈瘤
・国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス

【 監修医師 】
●小山翔平 (Shohei Oyama): 整形外科専門医, おやま整形外科クリニック院長 《Web》https://oyama-seikei.gassankai.com/
●Dr. KyoJi: 医師11年目の外科医, 新宿の医局→フリーランス《Twitter》https://twitter.com/dkyoji

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