カフェインの効果を最大限に引き出すコーヒーの飲み方

しょう吉

コーヒーは、ただおいしいだけではなく、その味わいに加えさまざまな効果を私たちにもたらしてくれる飲み物です。たとえば、コーヒーに含まれるカフェインは眠気の抑制につながったり、焙煎されたコーヒー豆の独特な香りにはリラックス効果も期待できたりします。

目次

コーヒーに含まれるカフェインの効果とは

カフェインの効果

まず皆さんご存じの通り、「カフェイン」には眠気や疲労感を抑制する効果が期待されています。

カフェインは活発な身体活動をサポートする成分です。一般的にコーヒー豆や茶葉、カカオなどに含有されていることから、これらを主な原料とする食品や飲料は、必然的にカフェインの量が多くなります。カフェインが私たちの身体にもたらす代表的な効能・効果は、次の4つです。

  • 眠気を抑制する覚醒作用
  • 疲労感を減少・抑制する興奮作用
  • 身体の血流を促す血管拡張作用
  • 老廃物の排出を促す利尿作用

これらの効果以外にも、

  • 認知症の最大の原因とされるアルツハイマー病
  • 手足の震えや筋肉の硬直によって身体の動きに障害が現れるパーキンソン病

予防に効能・効果がある可能性も示唆されています。「カフェイン=眠気を抑えるもの」と捉われがちですが、日常生活で高いパフォーマンスを発揮するために身体をサポートしてくれる成分でもあるのです。

コーヒーに含まれるカフェインの量

眠気覚まし以外にもさまざまな作用があり、病気の予防にも効果・効能があるカフェインはどのように摂取するとよいのでしょうか?まずはいろいろな飲み物に含まれているカフェインの量からチェックしてみましょう。内閣府の機関である食品安全委員会によると、カフェインを含む主な飲料・食品名とその含有量(カフェイン濃度)は、次のように示されています。

お茶が最もカフェイン量が多いという結果ですが、飲み物1杯あたりの量を考えると、やはりコーヒーがカフェインを摂取しやすい飲み物といえそうです。

コーヒーの種類

一概にコーヒーといっても、缶コーヒー、インスタントコーヒー、豆を挽いて淹れるドリップコーヒーと、その種類はさまざまです。そして、それらのコーヒー1杯あたりのカフェイン量がすべて同じかというと、実はそうではありません。コーヒーの種類や抽出方法によってカフェイン量は異なるのです。それを比較した表をお示しします。

【コーヒー別のカフェイン含有量】

コーヒーの種類カフェイン濃度備考
ドリップコーヒー(浸出液)60mg/100mlコーヒー豆10g、お湯150mlを使用
インスタントコーヒー(粉末)80mg/杯粉末コーヒー使用量は2gを想定
缶コーヒー90〜160mg/缶

缶コーヒーに比べると、ドリップコーヒーやインスタントコーヒーのカフェイン含有量が少ないのがお分かりになると思います。「コーヒーを飲む」という行為は同じかもしれませんが、どのコーヒーを飲むかによってカフェインの摂取量はコントロールできるのです。

カフェインの摂取目安量

ここからは、そんなカフェインの摂取目安量と、それをコーヒーの量に置き換えた場合1日に飲んでもいいコーヒーの量はどれくらいかを見ていきます。その前にすこし話はそれますが、睡眠が誘発されるメカニズムについてお話ししましょう。ヒトがエネルギーをつくり出すときの燃殻(もえがら)ともいえるアデノシンが、脳内の神経細胞を介して信号を伝達し、脳の睡眠をつかさどる部分を刺激して眠りを誘うといわれています。カフェインにはこのアデノシンの作用を妨げる働き、つまり睡眠の誘発作用を防ぎ、覚醒状態にする働きがあります。

そして本題ですが、どれくらいのカフェインを摂取すれば眠気をとれるのでしょうか?言い換えれば、どれくらいの量のコーヒーを飲めば効果的な眠気覚ましにつながるのでしょうか?日本ではカフェインの目安摂取量が定められていないため、食品安全委員会が公開している海外の主な機関のカフェインに対するリスク評価を参考に解説します。海外の主要機関に共通して報告されている内容で、カフェインを眠気覚ましとして活用するためには適度な量を適度なタイミングで摂取することが肝心とされています。ちなみに健康な成人の場合、1日あたり400mgのカフェインが「人体に悪影響のない最大摂取量」とされています。これをコーヒーの量に換算していきます。もし普段200〜300ml前後のマグカップでコーヒーを飲んでいるとすれば、1日2〜3杯前後を飲用するのが妥当だと考えられます。130〜150ml前後のマグカップであれば、およそ3〜5杯くらいでしょう。もちろん、カップサイズとコーヒーの種類によって摂取できるカフェイン量が異なるため、あくまで参考として捉えてください。多くてもコーヒーの量は 1リットルを超えないようにお気を付けください。

コーヒーには美容効果もある

実はコーヒーには美容効果もあるということをご存じでしょうか?「コーヒーを1日2杯以上飲む人はシミが少ない!?」という報告があるのです。コーヒーの注目成分のひとつにポリフェノールが挙げられます。実は数々の論文からコーヒー、ひいてはポリフェノールには「肌を美しく保つ効果がある」ことが明らかになっています。ポリフェノールには我々の体が酸化すること、簡単に言えば錆びついてしまうことを防ぐ抗酸化作用があります。ポリフェノールは赤ワインに含まれていることで有名ですが、ワインを毎日、しかも大量に摂取することはあまり現実的ではありません。そこでアルコールを除いた飲料別にポリフェノールの含有量を調べると、コーヒーには100mlあたり約200mgものポリフェノール含まれていることがわかりました。これは日本茶の約2倍もの量で、赤ワインと同程度の濃度にあたります。このように、美容に良いとしてブームになった赤ワインと同じような効果がコーヒーにも期待されております。ここに日本の研究チームがコーヒーの美肌効果について調査した研究があります。その研究では非喫煙者の30歳から60歳までの女性131人を対象としております。その方々に詳細にアンケートなどで統計を取ったところ「コーヒーを1日に2杯以上飲む人は、飲まない人に比べて紫外線による皮膚のシミが少ない」という事実がわかりました。つまり、コーヒーには肌を美しく保つ効果があるのです。

カフェインの過剰摂取は精神症状を引き起こすことも

そんないいこと尽くめにも見えるカフェインですが、気をつけておきたいこともあります。それは、“カフェインはコーヒー以外にも含まれている”ということです。回りくどくないように説明しますと、カフェインは紅茶、緑茶、抹茶、エナジードリンクの他、ガム、サプリメント、医薬品などにも添加されており、知らないうちにカフェインを多量に摂取している可能性があります。カフェインを過剰摂取するとめまいや吐き気、下痢といった症状をはじめ、興奮や不安などの精神症状を引き起こす場合があります。こうした症状が現れたときは、ただちにコーヒーの飲用を中止しましょう。

効果的なコーヒーを飲むタイミング

ここからは、カフェインの効果をうまく活用するためのタイミングや方法について説明していきます。皆さん、どのようなタイミングでコーヒーを飲むといいと思いますか?今回は仕事中に昼寝をして、午後の仕事効率を上げるための状況を考えてみましょう。通常、コーヒーを飲むとすぐにカフェインが体に取り込まれるわけではなく、血中を巡りやがて全身へと運ばれた段階で覚醒作用が働きはじめます。そのため、コーヒーに含まれるカフェインの効果を実感するまでは、コーヒーを飲んでから時間が必要なのです。結論として、コーヒーを飲むタイミングは体内にカフェインがない状態で、眠気を感じる前に飲んでおくのがよいとされています。つまり、

  • 体内にカフェインがない状態
  • コーヒー摂取
  • 睡眠
  • カフェインが血中に吸収
  • 全身にカフェインが広がり覚醒

このようなステップを踏むと、昼寝から目覚めたときに覚醒効果が働き、「良い昼寝ができた」と実感できるでしょう。なお、摂取したカフェインの血中濃度という、体内で有効成分の濃度が半分になるまでの時間は、個人差はあるものの一般的に4時間前後といわれています。この4時間を経過する前にさらにカフェインを摂取したりするなどで、カフェインが代謝されるスピードよりも多くのカフェインが体内に入ってくると昼寝したくても眠れなくなってしまいます。ですので「12:30 ころに気持ちよく昼寝する」ことを想定すると、

  • 08:30 以降コーヒーは飲まない
  • 12:00 頃に昼ご飯をたべる
  • 12:15 コーヒーを飲む
  • 12:30 昼寝開始
  • 13:00 起床

とすると、非常に良い入眠と覚醒を得られることと思います。このように、カフェインの適切な量、適切なタイミングを理解し、自分に合ったカフェインの取り方の参考にしてみてください。

ノンカフェインコーヒー

では逆に、「カフェインを抑えたいのにコーヒーを飲みたい!」「カフェイン量を控えなければいけないことはわかっている。でも、どうしても身体がコーヒーを欲している。」というときはどうすればよいでしょう?そんな時にはカフェインレスコーヒーがおすすめです。コーヒーではあるものの、カフェインを全く含まない、もしくは極めて少ない飲み物です。その飲み物には種類があり、

  • カフェインレス
  • デカフェ
  • カフェインフリー
  • ノンカフェイン

など、呼び名はいろいろあり、それぞれカフェインを含む量が違います。最後にそれぞれの特徴を解説しおしまいとします。

カフェインレス日本では、カフェインを90%以上取り除いたものを「カフェインレス」と表示することになっています。最近では、カフェインを97%カットしたコーヒー豆やインスタントコーヒーなどもあります。

デカフェ、カフェインフリーコーヒーやお茶類から、ほぼすべてのカフェインを取り除いた飲み物のことを指します。日本では明確な基準がありませんが、EUでは焙煎したコーヒー豆のカフェイン含有量が0.1%以下など一定の基準があり、その基準をクリアしたコーヒーがデカフェの表記となります。海外では「デカフェ」と呼ばれていることがほとんどであり、海外旅行中にカフェインの少ないコーヒーが欲しい時は“カフェインフリー”ではなく“デカフェ”という言い回しの方が現地の人に伝わりやすいでしょう。

ノンカフェイン元々、原料にカフェインが含まれていない飲み物のことです。

  • 麦茶
  • ハーブティー

などがノンカフェインの飲み物に該当します。カフェインを摂りたくない時は、ノンカフェインの飲みものを選ぶのがおすすめです。ノンカフェインにはカフェインが一切含まれませんが、カフェインレスやデカフェ、カフェインフリーには微量のカフェインが含まれます。カフェインレスやデカフェ、カフェインフリーの飲み物でも、たくさん飲めばカフェインが蓄積されていきますので、カフェイン量を敏感に気遣っている時はノンカフェインをお勧めします。

まとめ

いかがでしたでしょうか?コーヒーは、正しい付き合いをしていけば私たちの身体に良い影響を与えてくれる飲み物であるということがお分かりになったと思います。いつものコーヒー習慣を見つめ直し、自身のライフスタイルをより良くしてくれるコーヒーの飲み方を選んでみましょう。

【 監修医師 】
●小山翔平 (Shohei Oyama): 整形外科専門医, おやま整形外科クリニック院長 《Web》https://oyama-seikei.gassankai.com/
●Dr. KyoJi: 医師11年目の外科医, 新宿の医局→フリーランス 《Twitter》https://twitter.com/dkyoji

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