1日3食は身体にとって食べすぎなのかも!

しょう吉

病気にならないためにはどうすればいいでしょうか。実は1日に3食しっかりと摂っていると、糖尿病や高血圧が原因で認められる動脈硬化になってしまうリスクが高くなることが知られています。今回は、1日3食が病気を招いてしまうわけをご紹介します

目次

一日3食がいいとされる理由

私たちは生まれながらにして「1日3食とることが健康的な食生活だ」と教わってきたと思います。学校でも家庭でも朝ごはん・昼ごはん・晩ごはんの3食をバランスよくとりなさいといわれて育ってきた方がほとんどではないでしょうか?

この1日3食がいいとされる理由として、「栄養バランス」「脳への栄耀補給」「食事の役割分担」などの理論があります。

「栄養バランス」は1日2食以下にすると1食当たりの摂取カロリー量が増える傾向が強く、3食に分散して食べることがトータルのカロリー量も抑制できるという考え方です。「脳への栄耀補給」では、一食当たり5~6時間しか脳に栄養をおくることができないため、1日2食にすると脳へのグリコーゲンが不足する可能性があると考えられています。最後に”朝食は1日のスイッチを入れる、昼食は消費エネルギーを補填する、夕食は体を作る”という「食事の役割分担」という観点からも1日3食がいいとされてきました。

一日3食では、内臓は十分に休むことができない

 食事のあと、食べものが消化されるまで、胃の中に滞在する時間は平均2~3時間、脂肪分の多いものだと4~5時間ほどと言われています。小腸は、胃から送られてきた消化物を5~8時間かけて分解して、水分と栄養分の8割を吸収します。そして大腸が、小腸で吸収されなかった水分を15~20時間かけて吸収します。このように、私たちが食べ物を口に入れたあと、胃腸は何時間も働き続けます。しかし、何かしらの原因でメラノサイトの働きが低下したり、メラノサイトの数が減少するとメラニンが不足してしまい、色素が入っていない状態の白い髪の毛である白髪が生えてきてしまいます。メラノサイトでメラニン色素を作り出すには、さらに「チロシナーゼ」という酵素が必要になります。チロシナーゼが不足すると、メラニンが生成できず白髪が発生してしまうと言われています。つまり、白髪はメラノサイトの機能低下と数の減少、チロシナーゼの不足が主な原因と言われています。

一日3回、食事をとると、朝食から昼食までの間隔は4~5時間、昼食から夕食まで6~7時間程度となります。つまり、前の食事で食べたものが、まだ胃や小腸に残っているうちに、次の食べものが運ばれてきてしまうことになるのです。

これでは、胃腸は休むひまがありません。くわえて、年齢を重ねると消化液の分泌も悪くなり、胃腸の働きが鈍くなるため、ますます消化に時間がかかるようになり、胃腸も疲れやすくなります。私たちは、ほとんど常識として、健康な体をつくるためには一日3食しっかり食べなければならないと教わってきましたが、実は、「一日3回の食事」は、内蔵を休ませず、体にダメージを与えていたのです。

胸やけ・胃もたれ・食欲不振は胃が疲れているサイン

「一日3食」を続けていると、胃腸が疲れて、消化機能が衰えると、体にさまざまな不調が現れます。消化機能が衰えると、まず、食事から十分な栄養分を摂ることができなくなります。一日3食きちんと食べているにもかかわらず、エネルギー不足になってしまうのです。そうすると疲れやすくなったり、体がだるくなったり、肌や髪のコンディションが悪くなったりします。

 また、「胸やけ」「胃もたれ」「食欲不振」が起きやすくなります。胸やけは、食道と胃の間の筋力が落ちて、胃の入口部分の締まりが悪くなり、胃液が食道に逆流することで起こります。消化に時間がかかり、食べものがいつまでも胃に残っていると、胃もたれが起こります。胃の消化機能が落ちてしまったら食欲もなくなります。

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「最近、胸やけや胃もたれになることが多くなった」
「昔に比べて食欲が落ちた」
という人は、胃が疲れている可能性が高いです。

なお、胸やけや胃もたれ、食欲不振の頻度があまりにも多い場合、長引く場合は、胃炎など何らかの病気になっているおそれがあるので、いちど病院を受診することをおすすめします

腸内環境の悪化は全身にダメージを与える

腸が疲れ、働きが鈍くなると食べ物が消化しきれずに残ります。それらはやがて腐敗し、腸内でアンモニアなどの有害物質を発生させます。腸の中には善玉菌や悪玉菌、など様々な腸内細菌がいます。健康なときは善玉菌が優勢です。しかし、腸の働きが鈍くなり、老廃物や有害物質などがたまって腸内環境が悪化すると、悪玉菌が優勢になります。そして、腸の働きがますます鈍くなるという悪循環に陥り、便秘や下痢などが起きやすくなります。さらに、腸で発生した有害物質は、血液に乗って全身にまわります。このせいで、肌荒れがひどくなったり、体臭がきつくなったりします。ときには、がんなどの病気になったりすることもあるのです。

一方、腸には、体内に侵入しようとするウイルスや毒素などを排除し、体を守るという「免疫機能」も備わっています。腸の機能が衰え、腸内環境が悪くなると、免疫力が低下してしまいます。すると、風邪や肺炎などの感染症にかかりやすくなる、アレルギーが悪化する、がんが発生する、といったことも起こりやすくなります。

胃腸だけでなく「肝臓」も疲れてしまう

一日3度の食事によって疲れてしまうのは、肝臓も同じです。いや、肝臓の疲れは、胃腸以上と言ってもよいかもしれません。肝臓は、腎臓とともに「沈黙の臓器」と呼ばれ、ふだん、その存在が意識されることはほとんどありません。お酒を飲みすぎたときや、人間ドックで肝臓の数値に異常が出たりしたとき以外、肝臓の具合を気にすることは、あまりないのではないでしょうか。

ところが、肝臓は実に働き者です。食後、体に入ってきた栄養を、体内で必要なエネルギーに変えたり、余分なエネルギーを蓄えたり、食べものに含まれていたアルコールやアンモニアなどの毒素を処理したり、脂肪の消化吸収を助ける胆汁を作ったり 肝臓は、さまざまな役割を一手に担っています。

そのため、食事の間隔が短く、次から次へと食べものが入ってくると、肝臓はフル回転で働かなければならず、どんどん疲弊していきます。  疲れにより肝臓の機能が衰えると、本来肝臓で解毒されるはずの毒素や老廃物が体内に残ったり、作られるエネルギーの量が減ったりするため、体が疲れやすくなります。また、肝炎や脂肪肝、肝硬変、肝臓がんなど、肝臓自体の病気や障害が引き起こされたりするおそれも出てきます。

食べすぎは、DNAや細胞を傷つける

みなさんもご存じのとおり、食べすぎは、体にさまざまな影響をもたらします。食べる量が多ければ、消化するのに時間とエネルギーが必要になり、どうしても胃腸や肝臓などに負担がかかります。また、食べすぎは、体内の活性酸素を増やします。活性酸素が必要以上に増えると、体の細胞が酸化されたり傷つけられたりするため、がんや糖尿病といった生活習慣病や脳疾患などにかかりやすくなり、細胞の老化も進んでしまいます。

食べすぎる人のほとんどは、ご飯や麺類、パン、甘いものなどの糖質の多いものや、肉、油などの脂質の多いものを摂りすぎています。糖質や脂質を過剰に摂れば、血液中の中性脂肪やLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増えます。そして、それらが血管壁に付着して、血管が狭くなってしまいます。糖質の多いものを食べすぎると血糖値が高くなり、当然、糖尿病になるリスクも増加します。

脂肪細胞は無限に増大していく

食べすぎの弊害として、忘れてはならないのが「内臓脂肪」です。

食べものによって得られた糖質や脂質は脳や筋肉、内臓などが働く際のエネルギー源や細胞の材料として使われます。使い切れずに余った分は、いずれエネルギーとして使用するため、まず筋肉や肝臓に蓄えられますが、筋肉や肝臓の貯蔵スペースには限りがあり、あまりたくさん蓄えることができません。

すると体は、筋肉や肝臓にも入りきらなかった余分なエネルギーを、おそるべき方法で蓄えようとします。エネルギーを中性脂肪に変え、脂肪細胞に蓄えてしまうのです。脂肪細胞は柔軟性が高く、中性脂肪を取り込んで、元の数倍の大きさにまで膨れ上がることができます。このように、無限に容量を増やすことができるのは、人体の中では脂肪細胞だけです。

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肥大化した脂肪細胞からは悪玉ホルモンが分泌されるようになり、糖尿病や高血圧、慢性的な炎症状態を引き起こしてがんになるリスクも高まります。

胃腸を休ませ、食べすぎを防ぐシンプルな方法

このように、一日3食の食生活、そして食べすぎは、体に大小さまざまな悪影響を与えます。どうすれば、これを防ぐことができるのでしょうか。それは、「ものを食べない時間、空腹の時間を作ること」です。空腹の時間を作ると、まず、内蔵がしっかりと休むことができます。

最後にものを食べてから10時間ほど経つと、肝臓に蓄えられた糖がなくなるため、脂肪が分解されエネルギーとして使われるようになります。そして、16時間を超えると、体に備わっている「オートファジー」という仕組みが働き始めます。

細胞内の古くなったタンパク質が、新しく作り替えられることをオートファジーといい、細胞が飢餓状態や低酸素状態になると活発化すると言われています。オートファジーによって、古くなったり壊れたりした細胞が内側から新しく生まれ変われば、病気を遠ざけ、老化の進行を遅らせることもできるのです。

16時間の空腹で体をリセットする

 空腹の時間を作ることで、

  • 内臓の疲れがとれて、内臓機能が高まり、免疫力もアップ
  • 血糖値が下がり、インスリンの適切な分泌が促され、血管障害が改善
  • 脂肪が分解され、肥満が引き起こすさまざまな問題が改善
  • 細胞が生まれ変わり、体の不調の改善や老化の進行を食い止める
  • 細胞が生まれ変わり、体の不調の改善や老化の進行を食い止める

といった「体のリセット効果」が期待できます。オートファジーの仕組みを活かすためには、16時間以上の空腹の時間が必要ですが、睡眠時間を上手に組み込めば、ムリなく実行できるでしょう。

毎日続けるのが大変ならば、週末だけ実行していただくだけでも、リセット効果は得られるはずです。

監修医師のアドバイス

私たちは、「食べる」という行為を、つい「食べものを口に入れること」「食べものがのどを通過したら、終わり」ととらえてしまいがちです。しかし、のどを通り過ぎたあと、体の中では各臓器が一生懸命働いているということを、忘れてはいけません。

体にとってはむしろ、食べものがのどを通過してからが、「食事」の本番です。そして、人間に休息が必要であるのと同様、内臓にも休憩時間が必要なのです。16時間の「ものを食べない時間」を作って、胃腸や肝臓を休ませてあげましょう。

【 参考文献 】
Endou M, Aoki H, Kobayashi T, Kunisada T. Prevention of hair graying by factors that promote the growth and differentiation of melanocytes. The Journal of dermatology. 2014 Aug;41(8):716-23.

Huang S, Rompolas P. The Psychology of Gray Hair. Developmental cell. 2020 Mar 9;52(5):548-9.

Harris ML, Fufa TD, Palmer JW, Joshi SS, Larson DM, Incao A, Gildea DE, Trivedi NS, Lee AN, Day CP, Michael HT. A direct link between MITF, innate immunity, and hair graying. PLoS biology. 2018 May 3;16(5):e2003648.

【 監修医師 】
●小山翔平 (Shohei Oyama): 整形外科専門医, おやま整形外科クリニック院長 《Web》https://oyama-seikei.gassankai.com/
●Dr. KyoJi: 医師11年目の外科医, 新宿の医局→フリーランス《Twitter》https://twitter.com/dkyoji

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