【尿もれ・頻尿が気になる】過活動膀胱

排尿に関するトラブルは加齢と共に増える悩みの1つですよね。女性ならではの排尿トラブルとしては、「以前よりトイレが近くなった」「尿が我慢できない」「あっと思った時には間に合わなかった」というお話をよくお聞きします。

しょう吉

こういった排尿トラブルの原因として有名なのが、「過活動膀胱」です。今回はこの過活動膀胱について解説します。

目次

過活動膀胱の原因と症状

原因

過活動膀胱とは、急に尿意が起き、我慢できない感じがする「尿意切迫感」を主として、尿の回数が以前より増える「頻尿」、寝てからの尿の回数が増える「夜間頻尿」、尿意を我慢しきれず漏らしてしまう「切迫性尿失禁」をともなう状態のことです。この過活動膀胱の原因は様々で、女性であれば膀胱から尿道周辺の「骨盤底筋」という筋肉が弱くなること、男性であれば前立腺が大きくなって尿道が狭くなる「前立腺肥大」という病気が原因として多く挙げられます。他にも神経の病気の影響や、加齢による影響もありますが、原因がわからないこともあります

症状

過活動膀胱の主な症状は、急に尿意が起き、我慢できない感じがする「尿意切迫感」です。私たち医師が過活動膀胱の診断で参考にする質問表の、「OABSS」には、“急に尿がしたくなり、我慢が難しいことはありましたか?”という言葉が書いてあります。この症状が週に1回以上ある場合は、過活動膀胱の可能性が高くなります。

他の症状の目安としては次の通りです。

  • 頻尿
    水分摂取量にもよりますが、OABSSではトイレの回数が1日7回以上の時、過活動膀胱の可能性が高くなります。
  • 夜間頻尿
    眠ってからトイレに起きる回数を数えます。
  • 切迫性尿失禁
    急に尿がしたくなり、我慢できずに尿をもらしてしまうことがあるかどうかです。
しょう吉

上記の症状で悩まれている場合には過活動膀胱を考えます。

男性の場合、過活動膀胱の原因に前立腺肥大が影響していることがあります。上記の症状に加えて、前立腺肥大による、尿を出しにくい・排尿時に力が入るなどの症状が起きる場合もあります。

過活動膀胱の予防と治療

予防

過活動膀胱には、先程の<原因>でとりあげた以外の原因として、肥満があります。そのため、体重を減らすことは過活動膀胱の予防に繋がります。また、過活動膀胱の予防として、1日にとっている水分や塩分、アルコール、カフェインの量を見直すことも重要です。特に、夕方からの水分は夜間の尿につながります。夜間頻尿で困っている方は、夕方以降に水分・カフェイン・アルコールをとりすぎていないか確認してみましょう。

治療

過活動膀胱といっても原因も症状も様々ですので、まずは患者様それぞれが何にどう困っているかお話を聞くところから始まります。この際、自分の排尿の様子を記録につけておくとスムーズに話ができるでしょう。「排尿日記」といい、この記録をつけること自体も過活動膀胱の治療の一環となります。受診の前から試してみるのもいいですね。

過活動膀胱の治療は大まかに「行動療法」と「薬物療法」に分かれます。行動療法のうち、女性に効果があるのが「骨盤底筋体操」です。子宮・膀胱・尿道に関わる骨盤底筋の筋力低下によって過活動膀胱が起きる場合がありますので、骨盤底筋を鍛える体操をすることで、時間をかけて過活動膀胱の症状を改善させることが期待できます。肛門から膣、尿道全体を締めるように力を入れて、そのまま5〜10秒キープし、ゆっくり力を抜いていくという動作を繰り返していく体操です。様々なサイトで紹介されていますので、一度検索してみてください。骨盤底筋体操は効果が出るまで時間がかかりますが、どの世代の方でも取り組める体操ですので気になる方は挑戦してみてください。

過活動膀胱には、便秘や下半身の冷えが影響する場合もありますので、適切な排便になるよう心がけたり身体を冷やさないようにすることも重要です。生活習慣の改善や排尿日記といった薬剤に頼らない行動療法だけでも過活動膀胱が改善する場合があります。行動療法で改善しきれない場合には、薬物療法を考えます。性別や泌尿器の状況などその方の状況に合わせて薬剤を選択します。薬剤を飲みはじめた際にも、行動療法は引き続き取り組むようにがんばりましょう。

こんな時には受診しましょう

頻尿・夜間頻尿・切迫性尿失禁といった症状で日々の暮らしで悩まれている方はお近くの泌尿器科やかかりつけ医に相談してみましょう。

【 参考文献 】
・Acute simple cystitis in women
・Acute simple cystitis in men
・Acute complicated urinary tract infection (including pyelonephritis) in adults
・Recurrent simple cystitis in women

【 監修医師 】
●小山翔平 (Shohei Oyama): 整形外科専門医, おやま整形外科クリニック院長 《Web》https://oyama-seikei.gassankai.com/
●Dr. KyoJi: 医師11年目の外科医, 新宿の医局→フリーランス《Twitter》https://twitter.com/dkyoji

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