絶対に見逃してはいけない甲状腺がんの症状6選

しょう吉

今回は、甲状腺癌の症状、原因についてお伝えします。

目次

甲状腺がんとは

甲状腺は、いわゆる「のどぼとけ」のすぐ下にある重さ10~20g程度の小さな臓器で、全身の新陳代謝や成長の促進にかかわるホルモン「甲状腺ホルモン」を分泌しています。羽根を広げた蝶のような形で、右葉と左葉からなり、気管を取り囲むように位置しています。甲状腺の病気は、男性よりも女性に多く見られ、これらは腫瘍ができるものとそうでないものに分けられます。さらに甲状腺の腫瘍のうち大部分は「良性」で、がんではないことがほとんどです。

しかしながら、中には大きくなったり、ほかの臓器に広がる「悪性」の性質を示す腫瘍があり、これを甲状腺がんといいます。甲状腺がんでは通常、触った時のしこり以外の症状はほとんどないですが、違和感・痛み・飲み込みにくさ・声のかすれなどの症状が出てくることがあります。このため、甲状腺の病気が甲状腺がんかどうかは、診察や検査をもとに詳しく調べていくことになります。

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甲状腺がんは、1年間に人口10万人あたり12.4人の割合で発症するとされています。

甲状腺がんは組織型別に5種類にわけられ、頻度、悪性度、転移の起こり方などに、それぞれ特徴があります。「組織型」には乳頭がん、濾胞がん、低分化がん、髄様がん、未分化がんに分類されています。また、甲状腺から発生するリンパ系のがんとして悪性リンパ腫を加えて分類する場合もあります。これらは広がりやすさ、増えやすさの指標となる悪性度、そして転移の起こりやすさなどにそれぞれ異なった特徴があります。

甲状腺がんの症状

痛みなどの自覚症状がほとんどないことから、進行して初めて気づく場合や、日常の診療中に甲状腺の腫れなどがたまたま発見されて、調べてみたらがんであったということも少なくありません。甲状腺がんでは初期症状がほとんど見られません。甲状腺がんの最初の徴候として、頸部前部にある甲状腺に痛みのないしこりができます。このしこりは甲状腺結節とも呼ばれ、このしこりを見つけたことによってがんが分かる、ということがあります。

甲状腺がんに見られる症状には、以下のようなものがあります。

  • 甲状腺やその周囲のしこり、違和感
  • 声帯を動かす神経である反回神経の麻痺による声のかすれ

また、ハイリスクの場合、あるいは未分化がんの場合は、上記に加えて次のような症状がみられることもあります。

  • 血痰
  • 息苦しさ(呼吸困難)
  • 飲み込みにくさ(嚥下困難(えんげこんなん))
  • のどの痛み

甲状腺がんが進行してくると、次第に栄養状態の悪化や全身の衰弱もみられるようになります。

甲状腺がんの原因

甲状腺がんのリスク要因には、年齢、性別、放射線にさらされることなどが考えられています。特に甲状腺がんになりやすいとされるのが、25歳~65歳の女性であり、アジア系の人種であることです。海藻などをよく食べ、ヨウ素の摂取量が充足していると考えられる地域では特に、甲状腺がんが好発しています。また、甲状腺腫などの既往歴を持っている、あるいは家族に甲状腺疾患もしくは甲状腺がんの人がいる場合にも、甲状腺がんになるリスクが高いとされています。さらに、小児期に頭頸部に放射線を浴びた経験がある、もしくは原爆に被爆した経験があるという方も甲状腺がんになりやすく、放射線を浴びてから早くて5年程度で、甲状腺がんへ移行するとされています。

また、それぞれのがんによって原因が定まっていることもあり、例えば、橋本病にかかったことがある方は、甲状腺がんの中でも悪性リンパ腫を発症しやすいとされています。未分化がんも、甲状腺がんにかかっている方がなりやすいがんであり、こちらは男性であっても罹患(りかん)する可能性が高いがんとされています。

甲状腺がんのステージ(病期)

甲状腺がんでは、Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期に分類されています。ステージはがんの大きさだけではなく、がんがどこまで広がっているか、リンパ節や遠くの臓器への転移があるかどうかで決まります。甲状腺がんでは、がんの種類、進行の程度によって治療法が異なるため、組織型やステージを正確に把握することがとても重要です。組織型やステージを知ることで、これからの治療の目安について大まかに予測することができます。

甲状腺がんでは、がんの種類、進行の程度によって治療法が異なるため、組織型やステージを正確に把握することがとても重要です。組織型やステージを知ることで、これからの治療の目安について大まかに予測することができます。

甲状腺がんの生存率と予後

甲状腺がん全体で見てみると、5年生存率はステージ1期からステージⅢまでは90%以上の5年生存率ですが、ステージⅣ期になると70%台にまで下がってしまいます。また、甲状腺がんはがんの種類によって生存率、予後が異なります。がん研究会有明病院の組織型別生存率では、乳頭がんは5年生存率が98%、10年生存率が94%、20年生存率が92%とかなり高いことが特徴です。また、濾胞がんは遠隔転移が無ければ5年生存率は100%となり、遠隔転移があっても5年生存率が86%となります。髄様がんは5年生存率が73%となります。しかし未分化がんの生存率は低く、1年生存率が16%となります。

監修医師のアドバイス

甲状腺がんは乳がんと同様に若い女性に多く発症する癌です。「私は若いから大丈夫!」と安心せず、自分の喉にしこりができていないかどうかをたまに気にかけて触ってみてください。しかし、癌とは言っても5年生存率が 70~80% 以上であることが多く、予後は良好と言えます。未分化がんの場合は別物ですが、くびにしこりを発見した場合は怖がりすぎずに、すぐに病院を受診し早期発見・早期治療を行うことで、その後の安心安全な生活を送れるようにしていきましょう。

【 参考文献 】
・がん治療.com
・国立がん研究センター がん情報サービス 各種がん117 甲状腺がん
・がん研有明病院 がんの種類について 甲状腺がん

【 監修医師 】
●小山翔平 (Shohei Oyama): 整形外科専門医, おやま整形外科クリニック院長 《Web》https://oyama-seikei.gassankai.com/
●Dr. KyoJi: 医師11年目の外科医, 新宿の医局→フリーランス《Twitter》https://twitter.com/dkyoji

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