MCTオイルって何?
低糖質ダイエットをきっかけに、注目を浴びるようになった「MCTオイル」
MCTとは「中鎖脂肪酸」のことです。
この記事では鎖脂肪酸を豊富に含むMCTオイルについて解説していきます。
MCTオイル
MCTオイルは脂肪を燃焼し、かつ筋肉や脳のエネルギーとなり糖尿病などの生活習慣病の進行を抑えてくれるとも言われており、まさに健康食品の中の健康食品というイメージです。このような話を聞くと毎日の生活に取り入れたいと思いますよね?しかし、
- 実際には体には何が起こるの?
- どんな健康メリットが期待できるの?
- MCTオイルの摂取量(せっしゅりょう)はどのくらいがベスト?
- 定期的に飲むことで起こりうる副作用は?
など色々な疑問も思い浮かぶと思います。
そこで今回は、「MCTオイルとは何か」、「どのような効果があるのか」、「MCTオイルの効果的な摂取法」をご紹介し、MCTオイルを日常生活により有効的に取り入れるために必要な知識を紹介いたします。最近ダイエットを始めようと考えている人、もしくは始めた人にはぜひご覧いただきたいです。
MCTオイルとは
MCTオイルは、ココナッツやパームフルーツの「種」から取り出して作られる天然由来のオイルです。「MCT」とは「Medium Chain Triglyceride(ミディアム チェーン トリグリセリド)」の頭文字を取ったもので、日本語では「中鎖脂肪酸」と訳されます。つまりMCTオイルとは、成分の大部分を中鎖脂肪酸が占めるオイルのことです。もともと日本では、MCTオイルは医療現場で使われてきたオイルなのですが、それに加えて近年さまざまな効果が実証されてきています。中鎖脂肪酸自体は母乳にも含まれている成分で、赤ちゃんの粉ミルクにも入っています。最近の研究では、中鎖脂肪酸の抗炎症作用(こうえんしょうさよう)によって抗菌・抗ウイルス作用があることも知られてきました。
中鎖脂肪酸とは
中鎖脂肪酸は、一般的な油のほとんどに含まれる長鎖脂肪酸に比べて、炭素の結合が約半分の長さです。脂肪酸の長さが短い分、肝臓に直接取り込まれ、体内ですぐエネルギーになることができるのが中鎖脂肪酸の特徴と言われています。すぐにエネルギーとして使われるので、中鎖脂肪酸は体脂肪として蓄積されにくいのです。
エネルギー源となるケトン体
繰り返しにはなりますが、中鎖脂肪酸は脂肪酸の長さが短い分、体内に吸収されてすぐエネルギーになることができます。この時に中佐脂肪酸が消化され、吸収されたときに生成されるのがケトン体です。ケトン体は、体のエネルギー源としてよく耳にする「ブドウ糖」の代わりに、脳や体のエネルギー源として活躍してくれます。このケトン体が、アスリート・ダイエッター・高齢の方の健康維持に効果的なのです。
MCTオイルの効果
低糖質ダイエット時のエネルギー源
ブドウ糖の代わりのエネルギーとして、MCTオイルは糖質制限ダイエットと相性が非常に良いです。お米、パン、お菓子などの糖質を減らし、脂質からエネルギーを得ることでケトン体を活性化させ、体脂肪燃焼を加速させる低糖質ダイエット。しかし、糖質を減らしている分、エネルギーを補充するには多くの食事が必要です。日中にエネルギーが足りないと頭も体も働きません。そのカロリーが足りないと筋肉も痩せていってしまいます。低糖質ダイエットで一度は体重が落ちても、カロリーも減り栄養不足になると筋肉が減ってしまい基礎代謝が下がってしまうので、ダイエット後に食事量を戻したときにリバウンドしてしまう可能性が高くなるのです。しかしMCTオイルなら、体脂肪にたまらずにすぐエネルギーになる性質があるので、エネルギーは補給しつつも太りにくいという特徴があります。さらに、体内の脂肪をエネルギーとして燃やすケトン体回路を優先的に動かすことで、痩せやすい体質になることもできます。糖質ではなく脂質のエネルギー源をとるために、MCTオイルを有効活用することがおすすめです。
血糖値の急上昇を防いで、インスリンの分泌を抑える
パンなどの糖質を摂って血糖値が上がると、体内でインスリンが分泌されます。インスリンは血中の糖分を脂肪細胞に取込み、血糖値を下げるように働きかけます。したがって、糖質によりインスリンが一度にたくさん分泌されるほど体脂肪が蓄積されてしまう傾向にあるのです。しかしMCTオイルは糖質ではなく、あくまで脂質の一種であり血糖値はすぐには上がりません。そのためインスリンが過剰に分泌されることはないのです。このようにMCT オイルを糖質制限と組み合わせることで、インスリンの分泌も抑えられるというダイエットにぴったりのエネルギー源なのです。
満腹感があるので余計な間食をしなくなる
MCTオイルを摂ると、空腹感が減るといわれています。間食を減らすことができ、朝昼夕の食事でしっかり栄養素を摂るリズムが作りやすく、ダイエットをさらに加速させてくれます。加えて申しますと、MCTオイルを使って最大限に効果的なダイエットをしたい方は「糖質制限・低糖質食」と「運動・筋トレ」を組み合わせるのがおすすめです。これらの相乗効果で、引き締まった体づくりをサポートしてくれるはずです。
スポーツのときの筋肉のエネルギーに
MCTオイルはすばやくエネルギーに転換でき、体に脂肪を蓄積しにくい性質があるので、トレーニング中のアスリートに適したエネルギーとして活用されています。また、MCTオイルを摂取することで糖質由来のエネルギーが温存されるので持久力もアップする事が知られています。ひとつ、その効果を立証した論文をお示しします。被験者8名がそれぞれ中鎖脂肪酸入りのクッキー、または長鎖脂肪酸入りのクッキーを毎日摂取したあと運動試験を実施しました。その結果、中鎖脂肪酸を摂取した方が、疲れにくく、持久力がアップしたという結果がでたのです。
高齢の方の脳のエネルギーに
人間の脳は通常、ごはんやパンなどに含まれる糖質が分解された「ブドウ糖」を脳のエネルギーとして使っています。しかし、特にアルツハイマー型認知症では、このブドウ糖をうまく脳に取り込むことができなくなり、認知機能(にんちきのう)が低下すると言われています。それを補うように、MCTオイルは脂質由来のエネルギー源として、脳へエネルギー補給することができると言われています。
生活習慣病・糖尿病にも効果的
現代では、多くの方々が糖尿病の予防や治療のため、糖質制限の食事をしているといわれています。そのような方々の血糖コントロールの際、エネルギー補給にMCTオイルを加えることで、エネルギー不足になりにくく、空腹感も感じにくくなるのです。
MCTオイルをより効果的に取り入れる
摂取量の目安
一般的には摂取量の目安として1日1~3回、1回あたり小さじ1杯~大さじ1杯がオススメされます。一度に大量に摂取すると、胃に負担をかけることになり、お腹が緩くなる場合があるので、少量からの摂取をおすすめします。また摂取の時間帯は朝~昼がおすすめですこれは、MCTオイルはすぐにエネルギーになるので、活動的に動いてエネルギーを使う時間に摂取するのが効果的だからです。
MCTオイルはどのように料理に使える?
おすすめのMCTオイルの使い方を説明します。MCTオイルは味や匂いのない、無味無臭の透明なオイルなので、飲み物や食べ物に混ぜたり、かけたり、様々な使い方が可能です。
たとえば、コーヒー、牛乳、ヨーグルト、サラダ、スープ、味噌汁、プロテイン、スムージー、これらに混ぜることでさっと摂取する事ができます。
MCTオイル摂取時の注意点
使い始めは消化器が刺激され、お腹がゆるくなる人もおりますので少量から摂取することがおすすめです。小さじ1杯から試して、徐々に増やしていくのがおすすめです。また、牛乳・ヨーグルト・豆乳などの乳製品や大豆製品と一緒に摂取し、乳化させることで、腹部への刺激を抑えることができます。またレシチンというサプリを使うのもおすすめです。
さらにMCTオイルは一般的な油と違い、揚げ物や炒め物に使用することができません。MCT オイルの沸点(ふってん)が約160℃と低く、泡立ってしまったりや発煙(はつえん)する危険があるからです。160℃を超えなければ問題ないので、完成した料理にかけたり、熱々のコーヒー、シチュー、スープなどに混ぜて使うことができます。
そしてプラスチック容器には要注意です。MCTオイルにはカップ麺・納豆の容器・コンビニコーヒーの蓋など、スチレン系樹脂の容器を縮めて変形させる性質があります。もともと油はプラスチックに染み込んで変形させやすいのですが、さらにMCTオイルは分子の短さもあいまって余計にプラスチックをすり抜けやすいのです。容器が溶ける訳ではないので体には影響ありませんが、容器が変形して火傷などにつながる場合もあるので、MCTオイルをとるときにはプラスチック容器は避けましょう。
まとめ
MCTオイルには
- 体脂肪として蓄積されにくい油
- 糖質のかわりにエネルギーになる
- スポーツ時のエネルギー摂取や高齢の認知症にも効果的
- 使い始めは小さじ1杯からとして、少しずつ増やす
- 味と香りがないので、飲み物にも食べ物にかけて摂取
- お腹がくだる方は、乳・大豆製品と一緒に摂取
という特徴があることが分かりました。この特徴を十分に理解し、皆さんの日々の食生活に取り入れてみてください。また運動やダイエットを加速するためにも非常に有効なアイテムであると考えられますので、エクササイズの前に摂取することもおすすめします。
【 監修医師 】
●小山翔平 (Shohei Oyama): 整形外科専門医, おやま整形外科クリニック院長 《Web》https://oyama-seikei.gassankai.com/
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