脳梗塞5つの前兆

しょう吉

脳梗塞は、実は脳卒中の一つです。

目次

脳卒中とは

脳卒中とは、脳の血管が詰まったり破れたりすることによって、脳が障害を受ける病気です。脳卒中を発症して脳が障害を受けると、脳が司っていた身体機能や言語機能が失われたり、場合によっては死に至ることもあります。
脳卒中というと、難しい印象を受ける方も多いと思いますが、実は3種類の病気のみを指します。脳の血管が詰まる「脳梗塞」、血管が破れる「脳出血」や「くも膜下出血(くもまっかしゅっけつ)」の3種類です。

脳梗塞の症状

脳梗塞は、何の前触れもなく発病することが多いといわれています。
脳梗塞の可能性のある症状には

  • 急に手足の動きが悪くなった
  • 急に片方の手足や顔のしびれが起こった
  • 急に呂律が回らなくなったり、言葉が出にくくなった
  • 急に片方の目が見えなくなった
  • 急にめまいがして体のバランスがとれなくなった

などがあります。なお、脳出血も同様の症状を起こすことが多いですが、脳出血の場合脳内に血液が広がるため脳内の圧力が上昇し頭痛や意識障害を伴うことが多いです。このように脳梗塞の症状はさまざまですが、「脳の症状」であるかどうかの大きなポイントとしては「突然の症状」、「麻痺やしびれは半身、右の手と足や、左の手と足に出る」(両手や両足と いった両方に出る症状は脳が原因ではないことが多い)、 「言語障害など“首より上の症状”が出る」などの点が重要で、これらの症状があるときには脳梗塞が疑われます。

脳梗塞の前兆の特徴は?

ときに前兆の症状で発病することがあり、その場合には前兆の症状のみの段階で病院を受診し治療を受けることができれば、本物の脳梗塞を防ぐことが可能です。前兆症状の特徴は

  • 症状が数分、数時間から一日以内で消失してしまった
  • 症状が短時間であるが繰り返して起こる

という症状の時には脳梗塞の「前兆」である可能性が高いと考えられます。これを一過性脳虚血発作(いっかせいのうきょけつほっさ):TIA (ティア)といいます。
とくに症状が短時間で消失してしまった時には要注意です。「たいしたことはないだろう」と安心して病院を受診しなかったために、後にひどい脳梗塞になってしまった人も数多くおられます。

脳の症状は短時間で治ってもすぐに病院へ

大きな脳梗塞になるのを防ぐには、前兆の症状だけのうちに病院へすぐ受診してください。脳卒中を担当するおもな診療科は、脳神経外科と神経内科です。

病院での検査と治療

  • CT 検査
    放射線で脳の断層写真をとります。短時間にすぐに検査でき、また脳出血やくも膜出血と見分けます。
  • MRI 検査
    磁石の力で脳の断層写真を撮ります。CTでは確認できない、発症まもない脳梗塞を診断でき、また脳のどの血管が詰まっているのかも確認できます。
  • 血管撮影検査
    カテーテルから造影剤(ぞうえいざい)を動脈内に注入してレントゲンを撮ることで、MRIでも写せない脳の細かい血管まで確認できます。

専門病院では、以上のような検査を行って脳梗塞や流れの悪くなった血管を評価、診断していきます。その結果、脳梗塞が発生している、もしくは発生の危険性が高い場合には以下のような治療を行います。

  • 内服薬
    アスピリンなど血管が詰まりにくくする薬を使います。
  • 点滴治療
    脳梗塞が発生してしまっている場合には、梗塞の拡大防止のために脳の血流を良くする点滴で治療します。
  •  t-PA
    最近、t-PA という脳梗塞に効果の高い点滴薬が使用できるようになりましたが、この薬が使えるのは発症して 4.5時間以内のみと決められています。また脳出血などの重篤な副作用が出るおそれもあり、使用するかどうかは専門の医師の判断に委ねられます。
  •  手術、カテーテル治療
    詰まりかかった血管を通したり、脳の血流を補うために手術やカテーテルやバルーンによる治療が必要になることもあります。
  • リハビリテーション
    麻痺や言語障害などの症状に対してこれらの治療に併せてリハビリテーションを行います。

早期受診で早期治療を

このように脳梗塞の治療には、早期受診と早期の治療開始が重要です。とくに効果の高いt-PAを使った治療は発症4.5時間以内にしか使えません。1秒でも早い診断が脳梗塞の経過を左右します。脳梗塞の後遺症は、運動麻痺や言語障害、記憶障害など、様々な症状があります。発見が遅くなればなるほど、後遺症が重篤化しますし、最悪の場合は死に至ることもあります。

しょう吉

「脳梗塞かも?」と思ったら、どんなに軽症でも油断せずに、できるだけ早く病院を受診してください。

【 監修医師 】
●小山翔平 (Shohei Oyama): 整形外科専門医, おやま整形外科クリニック院長 《Web》https://oyama-seikei.gassankai.com/
●Dr. KyoJi: 医師11年目の外科医, 新宿の医局→フリーランス 《Twitter》https://twitter.com/dkyoji

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