白髪は予防できる!?気になるその原因と対処法

しょう吉

髪の毛の中に白髪が一本でもあると、とても老けた印象になってしまいます。白髪が生えてきたら「抜く」「染める」などの対策方法がありますが、一時的に解決はしても、また次々と白髪が生えてきてしまいます。特に「抜く」という行為は毛根そのものを傷つけることにもなり、次に生えてくる毛髪にも影響するので医学的にはお勧めができません。その場しのぎの対策ではなく、まずは白髪が生えにくい頭皮環境に改善することが重要と言われています。

目次

まずは知っておきたい白髪との向き合い⽅

そもそも白髪の大きな原因というのが「加齢」です。歳を重ねれば重ねるほど、白髪というのは増えてくるのです。むしろ増えてきて当然なのです。だからこそ、くれぐれも「白髪が出てきたから大変だ!」と大慌てして、白髪を抜くといったことは決してしないようにして下さい。生活習慣や食生活などを見直すことで、白髪の進行を遅らせることができるのです。

それではこれからまずは白髪のメカニズムについてご説明したいと思います。

白髪のメカニズム

私たちの髪の毛は一定の周期で新しい髪に生え変わります。毛根の根元には毛母細胞というものがあり、毛細血管から酸素と栄養を取り込み髪が成長していきます。
この毛母細胞には「メラノサイト」という色素を形成する細胞があります。成長する過程の中で、メラノサイトが生成したメラニン色素を徐々に取り入れることで髪の毛は色がつきます。

しかし、何かしらの原因でメラノサイトの働きが低下したり、メラノサイトの数が減少するとメラニンが不足してしまい、色素が入っていない状態の白い髪の毛である白髪が生えてきてしまいます。メラノサイトでメラニン色素を作り出すには、さらに「チロシナーゼ」という酵素が必要になります。チロシナーゼが不足すると、メラニンが生成できず白髪が発生してしまうと言われています。つまり、白髪はメラノサイトの機能低下と数の減少、チロシナーゼの不足が主な原因と言われています。

白髪になってしまうのは原因があった

白髪のメカニズムでも述べたように、白髪になってしまうにはメラニン色素を作り出すのに必要な「チロシナーゼ」が関係しています。この「チロシナーゼ」は、加齢と共に減少していくものです。高齢者ほど白髪が生えやすくなるのはこのためです。つまり、加齢こそが最大の原因とも言えるのです。

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加齢は誰にでも訪れることで避けられないのですが、白髪になる原因は実は他にもいくつかあるのでご紹介します。

原因① 遺伝

年齢を重ねても、いつまでも黒々とした髪を持った方がいます。一方で10代~20代ごろから白髪が出はじめる方もいます。この違いは、遺伝的要因が強いかどうかです。
遺伝に関することは解明されていないことも多々あるのではっきりとは言えませんが、統計的にはメラノサイトの生存や維持に関係する遺伝子がもともと少ない人が白髪になりやすいようです。この遺伝子は、メラニン色素を髪に送り込むときに重要な役割を果たすので、これが少ないということは白髪になりやすいということになります。

原因② ⽣活習慣

食事や睡眠、運動といった生活習慣も、白髪の原因になります。

  • ⾷事
    チロシナーゼがきちんと働くためには、ミネラルなどの栄養素が欠かせません。白髪に限らず、健康な美しい髪の毛を生成するにはビタミンやアミノ酸などもバランスよく摂取することが大切です。
  • 睡眠
    白髪と睡眠は密接に関係しています。髪が最も成長するのは、1日の中で副交感神経が活発になる午後9時~午前2時と言われています。この時間にしっかりと睡眠をとっておくことが細胞の活性化に繋がります。
  • 運動
    血流が悪いと頭皮の細胞にまで必要な栄養がいきわたらず、メラノサイトの働きが鈍くなり白髪が生えやすくなると言われています。血流を良くするためには日々適度な運動をし、白髪のできにくい体にすることが重要です。

原因③ ストレス

ストレスは体に悪影響を及ぼします。なぜかというと、ストレスがかかった状態が続くと免疫力や自然治癒力が低下するからです。免疫力が低下するということは、細胞の産生や働きも低下するということでもあり、髪の毛を黒くするメラニン生成も活発に行われなくなります。
ストレスによる白髪はいかに自分のストレスと向き合い対処していくかが肝になります。

美しい黒髪を手に入れるために必要なことは?

白髪のない美しい黒髪を手に入れるには、メラニン色素を作り出すチロシナーゼを増加させ、メラノサイトの活動を活発にすることが重要です。遺伝による白髪に関しては絶対的な解決方法はありませんが、逆に言うと遺伝以外の原因による白髪に関しては、解決方法もあるということです。

解決⽅法① ⽣活習慣の改善

遺伝以外の白髪の原因として、生活習慣があります。正しい栄養、十分な睡眠、それから適度な運動などが挙げられます。これらは美しい黒髪を保つためにも不可欠な要素です。栄養についてはミネラル・ビタミン・アミノ酸などを食事でバランス良く摂取できるように心がけましょう。特に、銅はチロシナーゼ酵素の生成に欠かせないミネラルです。銅は牛肉のレバーや生牡蠣、しゃこ、ほたるいか、桜えびなどの魚介類、きなこ、大豆などの食品に含まれています。またメラノサイトの働きを活性化するためには、ビタミンB12と葉酸も必要です。他にも、ワカメなどの海藻類に含まれるヨウ素は細胞の新陳代謝を促進する働きがあり、細胞が生まれ変わる際に不可欠な栄養素です。

「ワカメは髪に良い」と言われるのは、ワカメに含まれるヨウ素が細胞の生まれ変わりを助け、健康な髪の毛のを生成するサポートしてくれるからです。チロシンもメラニン生成には不可欠です。チロシンとはアミノ酸の一種で、チーズなどの乳製品、納豆や味噌、ごま、落花生、アーモンドなどに含まれていると言われています。

十分な睡眠については、睡眠時間の確保だけではなく、その質についても意識したいところです。入眠直前までスマホやコンピューターをやっていると、脳が活性化してスムーズに眠りにつけないこともあるので、少なくとも就寝1時間前からは利用を控えましょう。

運動については血流をよくするためにも日常的に適度に行うことをお勧めします。
ウォーキングなど体に負担がかからないものや、あるいは入浴時に湯船にゆっくりと浸かるなど血流が良くなる生活を送りましょう。

解決方法② MITF遺伝子の活性化

白髪を改善するには「MITF遺伝子」を活性化させることも有効だと言われています。MITF遺伝子とは、メラノサイトの中に存在している遺伝子で、メラニンの生成を促す司令塔のような役割を果たしています。

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MITF遺伝子は年齢を重ねるとともに減少するものなので、加齢に伴い白髪が増えるのはこのためです。

加齢なら仕方がないかとあきらめがちですが、MITF遺伝子を活性化させ、その産生を大きく促す物質があると言われています。黒糖エキスやウコンエキス、コレウスフォルスコリエキスやウメ果汁です。ちなみにコレウスフォルスコリエキスとはシソ科の植物で、サプリでも出ていますので気になる方は試してみると良いでしょう。これらの他にも、ビールに含まれるホップも良いとされています。
いずれにしても、生活習慣の改善と併せて摂取することで、少しでも白髪の進行が抑えられると言われています。

監修医師のアドバイス

白髪が増えるメカニズムがお分かりになったと思います。白髪は遺伝的要因もありますが、生活習慣を見直すだけでも予防できるのです。食事・睡眠・運動などの生活習慣を見直していただき、健康的な生活を意識してみてください。また、医学研究で判明したMITF遺伝子にも注目です。サプリメントなどでも構いませんので、是非MITF遺伝子を活性化させる食べ物にも注目してみてください。

【 参考文献 】
Endou M, Aoki H, Kobayashi T, Kunisada T. Prevention of hair graying by factors that promote the growth and differentiation of melanocytes. The Journal of dermatology. 2014 Aug;41(8):716-23.

Huang S, Rompolas P. The Psychology of Gray Hair. Developmental cell. 2020 Mar 9;52(5):548-9.

Harris ML, Fufa TD, Palmer JW, Joshi SS, Larson DM, Incao A, Gildea DE, Trivedi NS, Lee AN, Day CP, Michael HT. A direct link between MITF, innate immunity, and hair graying. PLoS biology. 2018 May 3;16(5):e2003648.

【 監修医師 】
●小山翔平 (Shohei Oyama): 整形外科専門医, おやま整形外科クリニック院長 《Web》https://oyama-seikei.gassankai.com/
●Dr. KyoJi: 医師11年目の外科医, 新宿の医局→フリーランス《Twitter》https://twitter.com/dkyoji

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