絶対に見逃してはいけない食道ガンの症状6選

しょう吉

今回は、食道がんの症状や原因についてお伝えします。

目次

食道がんについて

食道はのどと胃をつなぐ長さ約25㎝、太さ2~3㎝、厚さ約4㎜の管状の臓器で、食べ物が通りやすいように内側が粘液を分泌する粘膜でおおわれています。食道がんは、この粘膜の表面にある上皮から発生します。日本では、食道がんの90%以上が扁平上皮癌というがんですが、欧米では腺癌というがんが増加しており、そのほとんどは胃の近くの食道下部に発生します。日本でも、生活習慣の欧米化によって、今後、腺癌が増えることが予想されます。食道がんにかかる確率や食道がんによる死亡率は、ともに40歳代後半以降に増加し始める傾向にあります。また、女性よりも男性に多いとされています。食道がん発生の危険因子としては、喫煙や大量の飲酒との関係が明らかになっています。

特に日本で主流の扁平上皮がんでは、喫煙と飲酒が相乗的に作用してリスクが高くなることも指摘されており、もっと簡単に言えばタバコを吸えば吸うほど、お酒を飲めば飲むほど食道がんのリスクが高くなっていくということです。腺癌では、食べ物や胃液などが胃から食道に逆流する「逆流性食道炎」に加え、肥満の患者さんで確実にリスクが高くなるとされています。日本人の食道がんの約半数は胸の中の食道の真ん中付近から発生し、4分の1は食道の下部に発生しています。

粘膜上皮から発生したがんは、大きくなるにつれて食道外膜に向かって広がっていきます。食道の周囲には、気管・気管支や肺、大動脈、心臓など重要な臓器が近接しているので、がんが大きくなるとこれらの臓器に広がっていき、これを浸潤といいます。さらに進行すると、血液やリンパ液の流れに乗って腹部や首のリンパ節、他の臓器などに転移することもあります。食道がんは初期症状がないことが多く、約20%が検診や人間ドックのときに発見されます。つまり、食道がんの人の5人に1人は検査をしないと気づかずそのままになってしまっていたということです。

食道がんの症状

ごく早期の食道がんの場合、がんは粘膜内にとどまっており、「目立った自覚症状がないことが多い」ということが特徴の1つです。

  • 食道がしみる感じ
    食べ物を飲み込んだ時などに、食道や胸がしみて「チクチクとするような感じ」「熱いものを飲み込んだかのような感じがする」という症状です。この症状は食道がんの初期症状としては比較的多く見られるものの、がんが進行すると、自覚症状としては見られなくなってしまうので、注意が必要です。
  • 食べ物がつかえる感じ
    がんが大きくなると食道の内腔が狭くなるため、食べ物を飲み込んだ時、特に硬いお肉などを飲み込んだ時に、胸のあたりがつかえる感じがします。初期症状としては、硬いものを食べた時にみられ、やわらかいものはつかえずに食べることができますが、症状が進行してくると、水や自身の唾液でさえもつかえるようになります。
  • 体重減少
    食べ物がつかえるようになると食事摂取量が減り、栄養が吸収できずに体重が減少します。3か月で5~6㎏の体重減少が見られたら要注意です。
  • 胸の痛み、背中の痛み
    がんが進行し、肺や背骨、動脈を圧迫すると、胸の奥や背中に痛みを感じるようになります。末期症状としてよく出現する症状です。
  • 咳や痰
    がんが進行して気管、気管支、肺まで浸潤すると、せきや血のまじった痰が見られるようになります。これも末期症状としてよく出現する症状です。
  • 声のかすれ(嗄声)
    声の調整をしている反回神経が食道の脇にあるため、がんが進行すると風邪をひいた時のように声がかすれます。

食道がんの原因

食道がんは、高齢者や男性に比較的多いとされます。食道がんは大きく腺がんと扁平上皮がんの2つに分類され、がんの種類によって原因が異なるといわれています。腺がんの場合は、逆流性食道炎や繰り返す逆流症状、それに伴うバレット食道という食道の変化が原因となっています。

バレット食道になると、胃液が食道に逆流して食道の粘膜が荒れてしまいます。食道の粘膜は長時間胃液にさらされると、胃液からの攻撃を守るために胃の粘膜に変身してしまうのです。また、肥満や喫煙、欧米型の食事、あるいは胸部に放射線治療をしたことがあるかどうかや抗コリン薬の内服、血縁者に食道がんの方がいる場合などが、腺がんの原因となります。一方、日本で主流の扁平上皮癌は飲酒と喫煙が最大の原因とされており、お酒を飲むとすぐに顔が赤くなる体質の方は、食道がんのリスクが高くなることが明らかになっています。

また、熱い食べ物、辛い食べ物、冷たい食べ物などの刺激が強いもの、肉や魚のこげたものの摂取や、食道アカラシアや腐食性食道炎になったことがあるかどうかなども、扁平上皮癌の原因となると考えられています。

食道がんのステージ(病期)

食道がんのステージは、0期、Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期に分類されています。数字が大きくなるほど病状が進行していることを示します。また、ステージはがんがどこまで広がっているか、リンパ節転移があるかどうか、他の臓器への転移があるかどうかで決まります。これをTNM分類といい、各因子の組み合わせにより、ステージが決まります。

食道がんの生存率と予後

食道がんの5年生存率を見ると、このように生存率は徐々に低くなっていきます。リンパ節転移を起こす前に治療を開始できれば、5年生存率は80%台で推移することが可能です。がんが粘膜にとどまっている場合、手術で切除できれば5年生存率は100%とされています。しかし、進行がんになると、手術で目に見えるがんをとりきれたとしても5年生存率は54%とされています。ステージⅡ期やステージⅢ期の場合、補助化学療法を術前に受けてから手術をすることで、生存率は飛躍的にアップするとされています。

監修医師のアドバイス

食道がんは、このように早期発見することができればしっかりと治る癌であることがお分かりになると思います。しかし、早期発見に至らず、進行してしまった場合は大変です。予後も悪くなることが多いですし、何より手術が大変になります。食道は肺・心臓・気管支・大動脈・脊椎など大事な臓器に囲まれた身体の奥深くに存在しています。したがって、他の大事な臓器を傷つけずに、食道がんだけを上手に取り除くことは非常に困難であり、手術時間も長時間に及びます。ですので、まずは手術などが必要になる前に早期に発見することが大切です。より具体的に言えば毎年胃カメラを飲むことが重要です。バリウム検査では胃がんや食道がんを発見することが困難なことが多く、より確実に発見する為には胃カメラの方が圧倒的に有効です。

しょう吉

大変だとは思いますが、1年に1回胃カメラを飲むことをお勧めします。

【 参考文献 】
・がん治療.com

・日本食道疾患研究会「全国食道がん登録調査報告」
・日本肺癌学会 肺癌診療ガイドライン

・日本癌学会 食道癌診療ガイドライン

【 監修医師 】
●小山翔平 (Shohei Oyama): 整形外科専門医, おやま整形外科クリニック院長 《Web》https://oyama-seikei.gassankai.com/
●Dr. KyoJi: 医師11年目の外科医, 新宿の医局→フリーランス《Twitter》https://twitter.com/dkyoji

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