サプリメントは意味がない!?

サプリメントの人気が凄すぎる 

サプリメントは、 薬局をはじめ、今やコンビニや100円ショップなどで気軽に購入することができます。その種類も豊富で、ビタミン剤からコラーゲン、GABAなど 数多くのサプリメントが取り揃えられています。日本政府が平成24年に行った健康食品に対する聞き取り調査では、20〜79歳までの10,000人の方を対象に「日常生活でサプリメントを摂取しているか」という質問をしたところ 「摂取している」と答えた方は、なんと6割にも上りました。

サプリメントを摂取する目的は人それぞれ異なると思いますが、 ほとんどの方は「健康のため」に摂取しているものと思われます。サプリメントはもともと「補う」という意味であり、「何かを加えて完全なものにする」というような意味合いも含まれています。 つまり「日常の食生活の中で不足しがちな栄養を補給するために摂取する」 ということが一番の目的となっています。

実は全く健康に役立っていなかった

実はこれらのサプリメントが、 「医学的に十分な効果が証明されていはいない」としたら、びっくりしませんか？実際に、関節痛に効くとされる”コンドロイチン”についての実験が行われました。その結果についてお話していきます。

ある集団をA,B二つのグループにわけ Aには、コンドロイチンを本当に飲んでもらう。Bには、 コンドロイチンと伝えられた、ただの小麦粉で作ったものを飲んでもらう という実験を行いました。Bのグループに使用した小麦粉のように、 効果を確かめるために「こういう効果のある薬を飲んでもらいますね!」といいながら“実は無害で何の作用もない薬” を飲んでもらうことがよくあります。今回の実験では Aで使用した薬は本当に関節痛に効果があるのか!?」「関節痛に効くという薬を使っているという心理的な安心感で効いている気になっているだけではないのか?」という「思い込みの作用」を除外するために、 Bグループのように何の影響もない薬を飲んでもらうグループを作って実験しています。 ちなみにこの “何の影響もない薬” のことを “プラセボ” といいます。そしてこのコンドロイチンとプラセボを比較した研究の結果はどうだったかというと、

なんと「コンドロイチンの効果はプラセボと差がない」という結果になりました。
この衝撃的な結果を受けて、コンドロイチンに対して同じように“コンドロイチン” と“プラセボ”を利用した研究が何度も行われ、 そのいくつもの研究を積み重ねた結果、 正式に「コンドロイチンのサプリメントには、痛みをとる効果はない」 ということが判明したのです。さらにこれを受けて、他のサプリメントにも研究の範囲は広がりました。 その結果、亜鉛やカルシウム、プラセンタなど、 ほとんどのサプリメントには「表記されているような効果が得られない」と結論付ける研究結果がいくつも存在しているのです。

本当にサプリメントを摂取しても意味がないの？

それでは本当にサプリメントを摂取しても意味がないのでしょうか? これに関して「サプリメントと死亡率」に関する大規模な臨床研究が行われましたので、その結果をご紹介します。その論文は2019年にアメリカで発表されました。対象となった、20歳以上のアメリカ人30,899人に聞き取り調査を行い、過去30日間のサプリメント使用の有無と食品やサプリメントから摂取する栄養素の量 を測定しました。そのデータを用いて「サプリメントと死亡率の因果関係」を研究しています。その結果、対象となった30899人のうち、1年の研究期間中に3,613人の死亡が確認されました。死亡された方々の中で、「サプリメントを飲んでいる人・飲んでいない人の割合」を調べたところ、結果は非常に簡単に申し上げれば、差はありませんでした。実際には様々な因果関係を補正するために色々と調整を行っておりますが、端的にいえば 「サプリメントを常に飲んでいても、飲んでいなくても、死亡率には何も影響していない 」つまり「サプリメントを飲んだとしても長生きできるわけではない」ことが示されました。サプリメントを摂っていても長生きや心血管系をはじめとした病気の予防をするには、バランスの良い食事をとることが大事です。参考までにご紹介すると、ビタミンA・ビタミンK・マグネシウム・亜鉛 及び・銅を日頃から摂取していた人は”心筋梗塞などの心臓病” や ”大動脈解離などの血管系” による死亡率が低い、という事実がありました。これはサプリメントでとっているからそのリスクが低いというわけではなく、「偏食せず、普通の食事をしっかりとっていれば何も問題がない」ということです。